小倉 唯 1st LIVE「HAPPY JAM」 パシフィコ横浜大ホール

ついにきたよ。この日が。もう、待ちに待ったと言うほか無い。
こういった日だからこそ、小倉唯について改めて最初から語りたい。
対バンライブで偶然見かけたのが6年前。丁度ゆいかおりとしてデビューした頃で、その時は単なるアイドルとしてしか見れなかった。しかし、実際には声優を志しているとのことで、その声についても興味深く聴いていた。まだ中学生だからこその幼い声だけれども、その声に独特な響きがある。実際、その声が妙にひっかかって、本来ならこういった声優として活躍してない人はあえて意識しないよう心がけているのに、彼女たちだけはどことなく気にかけることになる。
特に小倉唯については、最初は幼い舌足らずの声という認識だったが、声そのものに何か独特な響きがあることに気づき、その声が声優として活躍することを徐々に、そして強く願うようにもなる。小倉唯の声は、ロリータにしてウィスパー。庇護欲をそそるのに包容力がある。そのオンリーワンの不可思議な声をキャラとして聞きたいと思った。苦手な握手会に参加して、彼女に声優として活躍して欲しいというファンとしての声をかけたのもそんな頃。
彼女が声優として本格活動し出して人気が出始めるのには、今となってはそんなに時間がかからなかったと言えるだろう。小倉唯はこの可愛い声だけの存在ではない。ダンスの素晴らしさもピカイチで、そんなクールな一面が多くのリスペクトを得る要因にもなっているだろう。
人気の高まりに比べ、周りの体制が追いついてない印象も強く、ソロ活動が始まって喜ぶ反面、同時にユニット活動の彼女に与えているであろう負荷も相まって、その活動にやきもきするようにもなった。この頃からソロイベントについても強く期待するようになっていった。
結局、メジャーレーベルデビューから6年。声優の本格活動から5年、ソロデビューからも3年。今となっては、新時代アイドル声優の代名詞的存在と言って良いほどの彼女が、ソロとして初めての本格ライブを開催することになった。これをして、待ちに待ったと言うほかは無い。
最近ではグッズの為に並ぶなどという熱心なことはあまりしないのだけれども、この日は会場の雰囲気だけでも味わいたくて、少し早めに到着して熱心なファンが並ぶ様子を眺めたり。自分が並んだ頃には全然ダメで、結局マトモなグッズは手に入れられなかったのだけど、それもまあファンとしては嬉しいことだ。実際には後日通販で手に入ることになったし。
ライブの内容については、小倉唯のパフォーマンスについてはもう何も言うべきことはない。というか、言葉が思い浮かばないくらいに嬉しかった。
小倉唯は才能の人だけれども、努力の人でもある。幼い頃から自身を律し続けて今の「小倉唯」を「作り上げて」きた。自分の中にある大いなる才能を、不断の努力で磨き上げて、「完全なる小倉唯」という存在を、自分の意思によって作ってきた。
その眩いばかりの才能、努力の結晶が、ここで思いの限り自由自在に魅力を表現している。今まで待たされたことも相まって、なんと表現して良いか判らないくらいに嬉しい。そう言うほかは無い。
小倉唯はこれからどこに向かうのだろう。
その声質は独特で、実際には声優として魅力的な使いどころを見出すのが難しい存在ともいえる。しかし、だからこそその魅力がはまった時の破壊力はピカ一。彼女自身も精進しており、声優として様々に活躍できるよう成長もしているだろう。そして、その誰もを引き寄せる魅力を持ったアイドル属性。アイドル属性が強いからこそ、その声優としての能力を低く見られかねないという危うさをクリアしていく必要すらある。そういった危うさがあるからこそ、彼女は常に努力し続け、結果として最先端を歩んでいかざるを得ない立場にいるとも言える。
今回のライブ、実は一つ残念なことがあった。舞台演出でプロジェクションマッピングによる効果を使っていたのだけれども、あれはライブとしてはあまり効果的ではない。マッピングはスクリーン映写によるものだけれども、それとライブステージの魅力を司る照明の明るさとは相反する。ステージを暗くしなければ映写が鮮明にならないし、照明を暗くすればステージの魅力を大きく減ずることになる。
小倉唯という存在は、今となっては声優界にとってとても貴重な宝石のようなもののように思う。あの若さで、一人でアイドル声優としての魅力を最大限に表現する、とても希少かつ価値のある、大いなるタカラモノだ。
そんな彼女を、彼女を取り巻く全てのもの達が細心の注意を払って見守り、最大限の投入によって彼女の今後の活躍の場を作っていってほしいと思う。
小倉唯は、きっと、そういった周囲の期待に応え、いつかより高い場所に皆を連れて行ってくれる存在になると信じている。