TVアニメ『ガールフレンド(仮)』のトーク&ライブイベント“聖櫻学園 夏の音楽祭2015” 舞浜アンフィシアター

このイベントについては大きく衝撃を受けた事があった。その事を語る上でも、このイベントについてはより詳細に、歯に衣着せぬ事を書きたく思っている。
一つ目の衝撃は、物販。販売列が遅々として進まず、良く見たら係員二人がちまちまと売ってるだけ。その上、物販の先行特典が今並んでいる人に行き渡らない事が推測できるのに告知しない。全くイベント開催の体制が整って無くて大いに不満を感じた。
しかし、それが二つ目の衝撃によって打ち消された。それはガラガラの会場という信じ難い事実を目の当たりにしたことによって。実際には半分程度(感覚的には1/3程度)は埋まっていたので1000人近くは集まっていたのかもしれないけれども、それでも少ない。これでは物販に気の利いた係員を多く置くという配慮も薄れるというものだろう。
考えたいのは、何故このイベントにこれだけ人が集まらなかったのかという事だ。
状況を整理すると、まず外的要因として、他に大きなイベントが被ってないかということだが、簡単に調べた限りそれほど影響が出そうなものは無かった。逆に、コミケ開催中ということから、この舞浜という立地のイベントは地方からも来易い状況にあったと思える。
併せて告知についても考えてみる。これはテレビアニメをしていて、そのBDに先行販売チケを付けたりしている時点で、他のアニメイベントと遜色ない宣伝をしていると考えるべきだろう。
そうなると、人を呼べなかった理由は内的要因と言う事になる。このイベントにおいて、作品に起因するのか、出演者に起因するのか。
一つには「GF仮」のアニメがあまり売れなかったというのは事実。「GF仮」というゲームコンテンツ自体が、一時は萌え系声優系ソシャゲとして一世を風靡したという認識はあるものの、今となってはスクフェスに押されまくっているという状況があるだろう。その上で、アニメの出来は決して悪くは無いものの、非常に順当な当たり障りのない萌えアニメだったこともあり、特に話題になることなく終わってしまったという印象。
しかし、それでも魅力的な萌えキャラを提示するという事は十分出来ていた訳でもあり、それはイベントに足を運ばせる要素に成り得た筈だ。つまり「積極的な行く要因」には足りなくても、「行っても良いかな」と思わせる程度のコンテンツではあったはず。
そうなると、気になってくるのが出演キャスト陣。見れば佐藤利奈佐藤聡美丹下桜原田ひとみ寿美菜子豊崎愛生井上喜久子名塚佳織という錚々たる顔ぶれだ。これだけ揃えていれば、コンテンツ的に「行っても良いかな」とおもえるものであれば「絶対行きたい」と思うものが多くいてもおかしく無いと思える。
しかし、蓋を開けてみればガラガラ。これはどういう事なのか。
つまりは、上に挙げた自分の二つの認識が間違っているということなのだろう。「GF仮」というコンテンツが萌え系としてある程度の出来であろうとも、それをもってイベントにいかせる要素には成り得ない。そして、錚々たる声優陣であろうとも、それをイベントで見ることに魅力を感じる人があまり多く無い。
いや、そんな事は無い筈なのだ。萌えアニメの定番的な作りは十分魅力的と捉えられるはずだし、錚々たるキャスト陣はもうレジェンド級も加わっていて有りえないほど豪華と言う認識を持っても良い筈。イベントの開催者側自身も、そういった認識を持って居たからこそ、このアンフィシアターにおける開催だったのだろう。
いや、もう冗談抜きで、スフィアのオリジナルソングアーティスト声優である豊崎と寿が、アニソンアーティストでもある原田としゅがが、アーティスト活動を休止して久しいさとりなとかもさんが、そしてレジェンド級であるお姉ちゃんと丹下さくらが、一堂に会してキャラソンを歌う機会などというものは、この後にも先にもそれに匹敵するイベントを見出すことすら難しい貴重な機会だろう。
こういった認識は、以前ならばオタク達の中の無言の共通認識としてあった筈だろう。しかし、それが過去のものになりつつあるという事を、このイベントは突きつけたという事なのかもしれない。
確かに、世間ではアイドルアニメ全盛の折、歌って踊れる新人声優が山の様に登場してステージ上で活躍し始めてはいる。しかし、ここに居る声優陣がそんな新人声優の10倍20倍するほどにキャラを今も変わらず司ってきている存在であることを認識していれば、誰も疎かには出来ないはずだ。
ただ、それでもなお人が呼べないという事は、その「認識しているオタク」そのものが、この世界から去っているということなのかもしれない。
時代は移りゆく。今まで居た者が去るからこそ、新しい者達の存在もまた見えてくる。
このイベントの前のコミケにおいて、新しいオタク達の存在を強く認識出来たが、その裏で消えていっている過去のオタク達の存在を、このイベントで認識する事が出来たということになるのかもしれない。
いや、もう、とても良いイベントだったんだよなあ。
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