アニサマ2015雑感

時間が許すならば全ての楽曲について感想を述べたいところなのだけれども、他の日の日記も滞っている状態なのでとりあえず全体の感想だけにしておこう。
まず、今年の出演者のラインナップを見て、長年アニサマに参加してきた往年のアニソンファンが最初に思うことは「以前よりもしょぼい」という事ではないだろうか。確かに前回はJAMも居たし水樹奈々も居た。その他の大御所がぞろぞろと出ていた。ただこれは10周年としての特別なラインナップだったのだから比較しても仕方が無いとも言える。
しかし、昨年と比較しなくても今回は今までのアニサマの流れとどこかが違う感じがする。何かが足りない感じ。なのでそれが何かを色々考えながら2013年以前のセトリを見返してみた。
で、結論として出た答えは「栗林みなみが居ない」ことが大きいと思う。
単に彼女が居ないという事だけでは無くて、それが何を意味しているかというと10年前から続いていたアニソンアーティストのキャリアに対するリスペクトという点で、大きな世代交代があった感じ。
アニサマは、元々はアニソンアーティストがメインのアニソンフェスで、最初は、その中に混じれたアーティストをする声優は水樹奈々くらいだった。しかし、ファンのアーティスト声優(あえてアイドル声優と呼ばずにこう呼んでおこう)への要求は大きく、徐々にその勢力は増していった。
そして2010年開催を超えた頃には実際のアニメタイアップが少ないJAMの出演が厳しくなり、対するアーティスト声優の勢いは歯止めが利かなくなった。そしてアーティスト声優は半数を超えるほどになる。
ただ、その当時の事を思い返すのだけれども、やはりアニソンはアニソンアーティストが歌うべきであり、アーティスト声優は「イロモノ」という雰囲気は根強かったように思う。「人気だけの声優を呼んでいるけれども、やはりしっかりしたアーティストの歌が聞きたい」みたいな感想も多かった感じ。だから、そのしっかりしたアニソンアーティストとしての「肝」みたいな人はどうしても必要であり、その最後の砦となっていたのが栗林みな実だったように思う。
だから、2014年の10周年の特別な開催で今までアニサマを支えてきたアニソンアーティストがこぞって揃っての開催を終えた次の年である今年、皆勤賞であった栗林みな実を筆頭にそれらのアニソンアーティストがごっそり抜けてしまったという印象は非常に強く、結果としてアニサマに長く続いていたアニソンアーティストへのリスペクトが大きく分断してしまっているように感じてしまう。
とは言え、この感覚はアニサマを見始めた世代によって違うかも知れない。2011年くらいから見始めた人達にとってのアニサマは、元々アーティスト声優が半数を占めるアニソンフェスであり、その中に往年のアニソンアーティストも居る、くらいの感覚かもしれない。
また、昨今のアイドルブームとアイドルアニメの隆盛から、一般の音楽シーンでもアイドルがもてはやされるのと同じく、アニソン界でもアイドル声優が第一線に出てくるのが当たり前になり、アーティスト声優がイロモノ、という感覚そのものが無くなってきているようにも思う。実際に、今の声優は歌唱力もルックスもステージパフォーマンスも一級品の上に声も演技もしっかりこなす人がごろごろいるのだから、もうイロモノとか言える筈もないだろう。(こんなことを言うと昔は実際にイロモノだと思うのかと言われそうだけれども、以前は今ほどアーティスト声優を生み出す体制が無くて、どこかに無理があったのは事実だと思う。ただ、その中でクオリティを保ち続けてた真のスターはもちろん居た)
こうした流れの中で、往年のアニソンアーティストへのリスペクトについては10周年を一つの区切りとして、今、一番活躍しているアニソンアーティストを揃えたら今回のラインナップになったのかもしれない。
それは「アニソンとは決して懐メロでは無く、常に新しく成っていくもの」という、実に単純で当たり前の考え方によるものだろう。
また、そうした考え方によって今回特に目立ったのが、アニメ作品の中身に拘った構成。
アイドルアニメとしてのアイマスラブライブのコラボに始まり、艦これ繋がりのサプライズでOPとEDのアーティストを揃え、ゲートというタイトルからシュタインズ・ゲートを押す。学園ものの声優ユニットを揃えたり、プラスチックメモリーズもOPEDを揃えたり。ジョジョでも全シリーズの楽曲を揃えて壮大な世界観を作っていた。
アニソンはアニメがあってこそのアニソンだし、こうした拘りは個人的にも以前から望んで居た事だったりもする。それが今までのアーティスト括りから解放されたことにより出来たのであれば、喜ばしいことだと思う。
他にもアーティストのコラボにより人気の高いアニソンのコラボが何時も以上に多く歌われたのも良かった。
今だからこそ求められている最新の人気アニソンがこれだけ揃い、アニメの世界観により深く入り込める演出もあり、今までとは違う新たな境地に、正に「ゲート」を開けて入った様な内容だったと言えるだろう。
今や日本最大のアニソンフェスとして、つまりは世界最大のアニソンフェスとして、とても大きな重圧を背負った中での、これは大きな挑戦でもあっただろうし、それを成し得たスタッフには称賛と感謝の意を捧げたい。
・・・で、〆とけば良いのだけれども、自分勝手な駄目オタとしては更なる要望と言うか、駄目だしも幾つか書いておきたいw。とは言え要望を書いたらキリがないので、あくまで今回の出演者の中での構成に限定するが。
一つはオーバーロードの「Clattanoia」が聞けなかったのは残念。あれは後に残る曲の筈。演者まで揃ってあそこまで期待させておいて残念極まりない。
もう一つはスフィア括りの為に、今のアニソンシーンで最も人気が高いとも言える戸松遥神曲「Q&Aリサイタル」が何時までたっても歌われないこと。これは水樹奈々エタブレを一度も歌わないくらいの損失だと思う。ついでに言えば、高垣のシンフォギアの楽曲もあるし、スフィアにはソロをやらせるべきだと思う。
さらに一つ挙げると、最終日の構成で、小倉唯内田真礼新田恵海大橋彩香、と綺羅星の如きアイドル声優が続いたとなると、この四人のコラボを期待してしまった。この四人で「スケッチスイッチ」とか聞きたかったなあ…(ダメ妄想中)