超に関する推理 その弐 「目的は何か」

「魔法使いの存在を世界中に公開する」と、超自身が自分の目的として発言している。(12巻105時間目)これについては、後に魔法先生に囲まれた時にも同じ意志を示し、また、その必要性について逆に魔法使い達に問い返している。(13巻119時間目)つまり超は「魔法使いの公開」が必要であると思っているようだ。この認識は、超が未来人であるとするならば、非常に重い意味を持つ。
ここで少し超の持っていたカシオペアの機能について、ひいては「ネギま!」世界におけるタイムマシンの特性について考えてみたい。タイムマシンものには様々な種類があるが、それらはタイムパラドックスの処理のし方において、大きく3種類に分けられる。一つは「未来書き換え型」。「バックトゥーザヒューチャー」などに見られるように、過去を変えるとその影響で未来も変わってしまう。本質的にはパラドックスは解決されていないが、実感しやすいタイムマシンものといえる。二つ目は「パラレルワールド型」。過去を変えても、それに応じた未来(パラレルワールド)が別に出来てしまうだけで、元々の現在を変える事は出来ない、というもの。そして三つ目が「運命不変型」。どんなに過去を変えようとしても運命の力によって変える事が出来ない。変えたと思ったことが、既にあった事にされてしまう。
それでは、「ネギま!」世界においてこのどれにあたるのかということになるが、それを考える材料として重要な描写が中夜祭にある。ネギは、「まだ時間移動をしていないにもかかわらず、過去に戻った自分の未来の行動を知る」。(11巻90時間目)このことから、よほど特殊な設定が隠されていない限り、「ネギま!」世界のタイムマシン特性は「運命不変型」であると推測される。つまり、「タイムマシンによって過去を変える事は不可能」ということになるのである。当然、この事はタイムマシンの所有者である超自身も知っていると考えて良いであろう。
そう考えると、超がやろうとする事はそれが実際に起きた事、つまり、「魔法使いの公開」は実際にこの後起きる事実という事になる。超の住む未来が、魔法が全世界に公開され、それでもなお概ね平和な時代だとすれば、その世界実現の為に行動している事になる。また、このような未来図は、カシオペアの様な高度に科学と魔法が結合した技術の生まれる世界像とも合致している。既に起きた過去の為に行動するというのも不思議な感覚だが、タイムマシンが実用化した未来人に取ってみれば、あたり前の感覚なのかもしれない。
要約すると、超の目的は、「世界を、魔法が浸透した平和な未来へ導く為、魔法使いの存在を公開する」ということになる。また、それは決定した未来でもある。