鍵姫物語 永久アリス輪舞曲 第11話

いやはや、とにかくやれる事は全部やってしまえという根性には恐れ入る。しかし、その為に今まで無かった設定、説明のつかない設定、実在の人物の設定等が出て来て、もう取り返しのつかない事態に。凄いドライブ感だ。
済んでしまった事はしょうがないので先の展望に目を向けるとしよう。
現状をまとめると、まずアリスマスターが「二つのアリスの物語」の原作者タキオン本人であるらしい。彼は自分の物語の力によってか、現在も、リデルと呼ばれる物語のモデルとなったアリス自身(アリス・リデル^^;)と共に時の闇をさまよっている。(亡霊のようなものか)そして「終わらないアリス」を完成させる事によって永遠の命を得られるとして、アリス能力者に戦わせて完成を目論んでいた。そして現状では、ついにありすときらはだけが残されている。
双子のアリスは「二つのアリスの物語」そのものらしい。有栖川ありすは有人の望みによって有人の描いた「終わらない物語」から生まれたとされていたが、単に有人の望みが実現したというよりも、双子と同じく「アリスの物語」そのものの擬人化的存在のようにも取れる。現在は有人が真に心寄せているのがきらはである事を知り、自ら消えようとしている。それをアリス・リデルが凍結して物語を繋ぎとめている。ありすときらはの物語を合わせれば「終わらない物語」が完成するからだ。
有人が実の妹を愛しているという心の闇と、有人自身のアリスの物語を書き写せるという能力の関係は定かではない。タキオンはドジスン博士と同様、少女愛という心の闇から物語を完成させたようだ。「道ならぬ愛」が共通項というわけなのだろうか。この二つの関係が定かではない為、有人と有栖川ありすの物語の接点というものもはっきりとは見えてこない。
物語最後、アリス・リデルがタキオンに対して刃を向ける。アリス・リデルはアリスの物語の代表的存在だろう。暴走した物語は作者本人の制御すら受け付けなくなるということか。一人の人間の不老不死などという低俗な願望を超えて、物語そのものが命を持ち、現実に対して抵抗し始めているようだ。
ここに来て、あまりにも不確定要素が多く、まるで予想がつかない。これを面白いというべきなのだろうか。それともあきれるべきなのだろうか。