歴史改変の考察及び今後の展開予想② レトリックを使用した「ごまかし」はあるか?

上記のとおり、ネギま世界における「運命決定型」のタイムトラベル特性が判明したのは90時間目であるが、ストーリー上、読者にその事実を伝えようとしたのは、実は125時間目における千雨の「もしや、回避は不可能?」というセリフである。この時のタイムトラベルは亜子の一大事を救うエピソードで、読者の記憶でも最も印象に残っているタイムトラベルであると思われる。ここでは過去に遡って亜子の不幸な出来事を修正する事になるが、実際には一度あった歴史を上書き修正しているわけではない。1回目の行動と2回目の行動は綺麗に住み分けており、「運命決定型」としての特性と矛盾しないようになっている。
しかし、実は同時に、運命決定型を決定付けさせる描写も存在しない。
唯一それらしき描写が千雨のセリフに至るシーンなのだが、これは「2回目の千雨達が回避不能な行動に出た瞬間、彼らにその行動結果による記憶が発生した」という可能性が残っている。つまりこのタイムトラベルだけを見れば、タイムトラベルによる歴史改変があったのかもしれない、とすることも出来る。
その事が、一寸した危惧を抱かせる。
このエピソードだけ取り上げて、「千雨のセリフはミスリード、実は歴史改変は出来る」という事は出来る。読者の多くがこのエピソードによって歴史改変が出来るかどうかという問題を認識したことから、他の些細な描写は無視し、このエピソードを基に、タイムトラベル特性を説明してしまうというストーリー展開方法もあるかもしれない。
とはいえ、作者自身が「精密機械のような物語を作りたい」といっているので、その可能性は極めて低いだろうが。