映画 ゲド戦記

あまり人の評価を入れたくなかったので、少し無理して初日に見てしまった。
評価としては60点。
作品としては、結構かっちりと作られている。最後の30分を除けば。
しっかりとした映像、しっかりとした物語廻し、しっかりとしたメッセージ性、それらを強く意識して作っているのは感じられたが、物語を閉める残り30分あたりになってきて、途端に苦しくなる。結局、物語の閉め、そこに至る過程の部分を上手く構築できていなかったという事だろう。主人公となるアレンとテルー、二人の心情面が共に描ききれていないし、その設定自体も説明しきれていない。これは原作付き作品という事もあり難しいものだったのかもしれないが、惜しいとしか言いようがない。
さらに言うと、映像的イマジネーションという面においては、やはり宮崎駿と比べるてしまうと絶望的に低いと言わざるを得ない。「ハウル」などは映像面以外取得がほとんど無いどうしようもない作品だが、それでもゲド戦記と比べると面白いと思ってしまう。今になってハウルの良さを認識してしまうという皮肉な結果になった。
唯一良かったのはメッセージ性が強く現れていた事だが、これも、映画としての魅力が伴っている時に初めて意味を成すものなので、必ずしもそれだけで評価を上げることは出来ない。しかし、ある程度破綻は無いし、物語としては上質、映像も丁寧で、見て損になる作品というものではない、といったところか。
映画化を期待していた作品だけに、この結果は少し残念だ。出来れば2巻目などを宮崎駿が作るとかの企画を検討して欲しいところ。
ゲド戦記は、原作を読んだ時その面白さに熱に浮かされたようなってしまい、第1巻以外あまり記憶が残っていないのだが、これを機会にもう一度読み返してみよう。