魔法少女リリカルなのはStrikerS 第8話 願い、ふたりで

結構面白くなっている。
やはり、このSSという物語は、スバル達新人隊員の為の物語だ。だから、彼らの話ならより深く心情に突っ込む事が出来るし、物語の展開も実感する事が出来る。そういった点で、前回のティアの失敗を受け、隊員達が足掻いたり助け合ったりするシーンを見るのは結構面白い。最初からこういった事だけを丹念に描いていれば、今頃随分と物語に深くもぐりこむ事が出来ていたに違いない。以降もこのような描写は丁寧に描いていって欲しいものだ。
ただ、やはり釈然としない部分も有る。それは、なのはの鬼畜さ・・・では無く(w)、この物語が「なぜティアなのか」という事。
今回なのはが怒った理由はなんとなく推測出来る。そして、次回予告を見る限り、怒った理由となのはの過去の出来事はリンクしているらしい。
実際の所、「なのは達の過去」、その中でもなのはが重傷を負ったという出来事は、おそらくなのはSS最大のキモであるのではないか、と推測できる。何故ならA’sからSSまでの期間、その出来事こそがなのは達に最も大きな影響を与えた出来事の様だからだ。だから、この出来事をトリガーとして描かれる物語は、当然、SSの中でも最も重要なエピソードとなるべきだろう。
だが、今回それが「ティアの物語」として描かれようとしている。これがどうにもバランスが悪い。これでは、なのはの意志を引き継ぎ、この物語を背負って立つキャラはティアになってしまう。
・・・えーと、スバルは?スバルは本当の主人公ティアに対して間違った意見を言って、さらに窮地に落としてしまう、お馬鹿なお友達としての二流サブキャラなの? もしかしたらスバルが主人公かもしれない(w)、と思って感情移入していた自分の馬鹿さ加減を思い知らされる感じだ(w)。
いやいや、主人公でも間違う事もあるし、ミスリードも楽しみの一つなのだが、情報提供が不徹底な中でそのような事をされると、かなり気分の悪い方法で騙された印象を持ってしまうのは事実だ。今回のティアの作戦の誤りはティアの暴走による物だとするのならば、その無茶な面とか、付き合っているスバルが心配する場面とか、背信感とかを少しづつ描いておくべきだろう。そうしないと、今回怒ったなのはの行動が、単に鬼畜行為にしか見えなくなってしまう。
実際の所、なのはの魔法砲撃は、単に魔力をぶつけ精神的ダメージを与える物と、物理的な衝撃を伴う物を選択できる、という設定も今までにしっかり説明されていないので、本当に非道な行為にしか見えない(w)。これもまた、情報提供の不徹底による歪みだろう。
とにかく、このままではなのはの伝えたいものの行き付く先としてのキャラはティアになってしまいそう。これは明らかにこの物語としてはバランスが変だ。やはりスバルを主人公として、彼女こそがなのはの遺志(?)を引き継ぐ者になった方が、ストーリーラインとしてスマートだと思う。
キャラクターの誰もが主人公としての資格を持ち、並列に描かれている事の無理や無配慮が、このような歪みとして表れているのだろう。次回、どの様な展開になるのか気になる所だ。
・・・次回をちょっと妄想
ティアを叩きのめし、その後自分の過去の失敗談も交えながら優しく諭すなのは。改心してそれを受け入れるティア。・・・しかし、一人納得のいかない者がいた。なのはの優しさに憧れていたスバルは、そのイメージのあまりのギャップを受け入れられず、なのはに対する不満が爆発してしまう。部隊を出奔するスバル。エリート街道を落ちこぼれ、スラム街でやさぐれるスバルに優しく声をかける者がいた。「もっと強くなりたくないか?」それはレリックウェポンの実験素体を探しているDr.スカリエッティその人。スバルは全てを承知しつつ、その甘言に乗るのだった・・・
てな展開になれば、スバルにも主人公への道が・・・無いか(w)。