ななついろドロップス 1話

なにやら「シナリオの逆算」を妙に意識させる作品だった。
「今はとにかく゛いとうのいぢ"」という所から始まって、「男オタクを楽しませる魔法少女もの」という企画になり、「主人公視点を持ち込む為に無茶な設定」というのは「おとボク」の「マリみての主人公を男にする」という発想からだろうか。その主人公であるのいぢキャラの男の子に冒頭からモノローグをさせるのは、やはり自重してほしい所だった。まあとにかく、「ハルヒ」やら「なのは」やら「おとボク」やらをビミョーに意識しながら粘土細工のようにこねくり回していたら出来てしまった作品、という印象だ。
いや、企画的にみれば結構練れているのだからそれほど問題は無いともいえる。ただ、それに説得力を与えるはずのキャラの動かし方はかなりピミョー。典型的なラブコメとして、主人公にしろヒロインにしろ、主要キャラの心情面を描いてこその物語のはずなのに、そこが全然中途半端。主人公は多分最初の出会いからヒロインに強く惹かれている事を後々自覚していく展開と思えるが、本当にそうなのか明確でない。対してヒロインは出会いの前から主人公に好意を持っているらしいのだが、それも明確にしたいのかそうでないのかよく分からない展開だった。シナリオにしろ演出にしろ、設定を追う事に手一杯で、何をしたいのかよく分からなくなっている感じだ。
可愛らしくも綺麗な作画である程度見る事は出来るが、やはり内容面をもっとしっかり設計してもらいたいものだ。