萌え四コマと「永遠の楽園」

最近、オタクが求める「永遠の楽園」について考えさせられる事が多い。
所謂「永遠はあるよ」が逆説的に象徴した、オタクが求める無限に続く快楽、エンドレスの幸福空間として機能している作品について。
何の事かと言うと、昨今の「萌え四コマ作品」の隆盛と絡めて考えているのだ。
おそらくは「あずまんが大王」を嚆矢とし、「ぱにぽに」で力を付け、「ひだまりスケッチ」「らきすた」でブレイクし、「けいおん」で天下を取った。今期のアニメでも「GA」やら「かなめも」やらと、「次はどれだ」状態だ。今のオタク作品のメインストリームは、明らかに萌え四コマと言えるだろう。
何故、萌え四コマはこんなに流行っているのか。
その答は、やはり「永遠の楽園」と関係するのだろうと思う。
いや、四コマだからといって時間の概念の無い、季節が無限ループとかの作品ばかりではない。それどころか、ここで取り上げた作品の内、特に人気の出ている作品は、明らかに時間が流れ、ちゃんと物語の終わりが予定されている作品ばかりだろう。
しかし、それでも萌え四コマには「永遠」があると思う。
四コマ漫画という形態は、一本一本が単体で存在することができる。つまり一本毎に時間が断絶している。もちろん、前後のエピソードと繋げて認識する事も出来るが、そうしなくても良いのが四コマ漫画だ。
この、「時間が断絶した世界」というのが、オタクとしては心地よいのだろう。なぜならば、そこにはエピソードだけがあり、時間の流れが無い、つまり「刹那の永遠」だから。
つまり、オタクに萌え四コマが受ける理由は、四コマ漫画という形態が時間の流れの認識を希薄にするため「永遠の楽園」を感じさせるから、ではないかと思う。
最初にも言ったが、「永遠はあるよ」が逆説的に象徴しているように、「永遠の楽園」が存在しない事は厳然たる事実だし、それをオタクは認識している。しかし、だからこそ、オタクは「永遠の楽園」作品を愛する。
萌え四コマ漫画にも時間の流れがあり、そこには真の永遠は無いのだけれども、エピソード毎の時間の断絶により刹那的な永遠を感じ取り、その刹那さ故に「永遠の楽園」を実感している、と言ったところだろうか。