うつろいゆく「ひだまりスケッチ」 〜×☆☆☆のEDを見て〜
×☆☆☆四話まで見た。今回からEDも変わっている。これが完成版ということかな。
今シリーズを見て感じる事、それは「郷愁」だろうか。新シリーズを見ているはずなのに、どこか懐かしい感じ。
例えば、前回までの構成。今も新しい時間が流れているのに、それは前半までで、後半からは昔を振り返る構成。そこには、懐かしい四人家族の暖かな時代が。既に一度物語は終わり、その後に物語を振り返っているかのような構成だ。
そして今回、「現在」だけで構成されているこの回で、新しい二人の住人はひだまり荘に「外」を感じさせる存在として描かれている。ひだまり荘を心の拠り所と感じる事が出来ずにいるなずな。外界との交流を当たり前と感じるのり。二人はひだまり荘に温かく迎えられるが、そこに昔の四人の様な深いつながりを予感させるものは、まだ無い。
EDにおいて、それはより強調されている。ひだまり荘の象徴はあくまで四人であり、二人は外界の存在。最後に四人が二人を向かえ入れるのだが・・・、それはどこか、四人と二人の差を明らかにしているように見える。
何故そう見えるのか。それは、桜と雪を使ったイメージ映像のせい。
ひだまり荘の四人は雪の中に泰然と佇む。雪降る中で大きな桜を満開に咲かせている。それは四人の歩んできた道のりの力強さを示す象徴だろう。
しかし、のりとなずなは違う。パソコンに向かい、ぬいぐるみを抱いて落ち込む二人は、雪降る中、枯れた木の下に立ち尽くす。孤独で弱い存在としての象徴だ。
そこに、ひだまり荘を象徴する満開の桜から吹き付ける明るく温かい風は、二人の世界を変えていく。二人は、四人の強い力によって救われる。
しかし、その後、二人が迎え入れられ六人として描かれているシーンは現実の描写。象徴ではない。では、のりとなずなはひだまり荘に受け入れられた時、四人と同じ存在になったのか。それは象徴として描かれず、あえて現実として描かれているので、本当の所は分からないのだ。ただ二人は、ひだまり荘を宿木として、そこに一時の救いを求めただけかも知れない。そんな描写とも取れる。
これからのひだまりスケッチは、どのような「世界」になっていくのだろう。
やはり、四人の家族が六人家族になる世界?
それとも、四人家族が二人を導く世界?
どちらにしても、第一シリーズの、四人が家族を構成する事によって、ゆのという「特別な存在」が守られ育まれていくという物語からは大きく変わってきている事は確かだろう。
ひだまりスケッチは、とても緩やかな物語だ。けれども、細やかな人間関係を描いているが故に、その世界は常に変わり続けているのだろう。
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