たまゆら〜hitotose〜第6話感想 城の上の孤高の口笛姫、なので

やば、感想書き始めたら止まらないw。多分に妄想駄々入りの感想という、実に無駄で迷惑なものを書いている。楽しいけどw。もう少し自重して、短文を目指そう。
で、この回なのだが、こちらはメインキャストにして、その中でも特に特異なキャラクター「麻音」にスポットが当たっている。これも実に興味深い回だ。
麻音は、自分の言葉を口笛で表現する。とても控えめで大人しく、楚々とした少女という印象がある。
しかし、実際の彼女はどうなのか。なぜ彼女は口笛なのか。それが正に、この回で表現されている。
彼女の幼児時代の物語。そこでの彼女の最初の登場は、指を一つ空高く掲げている所から映し出される。それは、ただ空のトンボを指に停まらせる為の仕草ではあるが、実はこの姿こそ、正に彼女を象徴している。
彼女の心の中には、誰よりも高い志がある。「自分」と言うものを強く持ち、それを表現したいと常に願っている。自分には「何か」がある。そう思えるからこそ、彼女は自分を表現する手段を常に求めているのだ。その「何か」は、きっと誰のものよりも高い、唯一のものだという自負があるだろう。それを傲慢という事は出来ない。それは人として生まれた以上誰にでもあるものであり、彼女は、それを子供の頃から誰よりも素直に感じる人だった、というだけのことだ。
彼女は、その心に感じるままにより高い所を求めて進み、そして、その表現の方法を模索し続ける。それは物語の創作でもあり、他の回のエピソードでも出てくる様々な表現でもあったりする。
しかし、そんな彼女の心の有り様は、言わば「内向」といえる。自分の心の内側に強い興味があるからこそ、こういった願望が強くなる。その為、実際には外側との関係性を持ちづらい。事実、彼女は人に語るべき物語を作っているにもかかわらず、実際にはそれを、偶然有った他人=楓に語ることを想定いていなかった。彼女の物語は、彼女の内側でしか展開出来ていない。タートルネックを顔まで被り、正に殻に篭る様子が描かれる。
しかし、そんな彼女の内向思考を破る出来事が起きる。彼女の物語の中の姫に成り代わり、彼女が口笛を吹く時、一組の子供達の悲しみを吹き飛ばす力を得る。内側にだけ向いていた彼女の力が、外に対して力を持った瞬間だ。
それ以来、麻音にとって口笛とは外と接続する最大の力になったのだろう。時が移り、中学生になっても麻音の内向的な心に変化は無かったらしい。しかし、のりえという、これも少し特異な存在に、口笛による意思の疎通が出来、そして、おそらくは麻音にとっての最初の友達を得る事になる。
人一倍内向思考を持つ麻音は、この後のりえを通じて少しずつ友達を増やしていき、その過程の中で自分の心の中の願いも明らかにしていくことになる。
強い内向思考だからこその、強い外向への表現意欲。そんな麻音と言う孤高の少女が抱える矛盾が、口笛という手段によって結びつく。それが二つの時によって的確に描かれた回と言えるだろう。

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