内面世界の煌めき ブラック☆ロックシューター

うん、いいね。純粋なインナースペースストーリーとして描かれている。
本来物語は、根本的には人の心象風景を描く事にこそ意義があり、その目的が究極的に純化した物語が内面世界物語と言える。だからこそ、そんな内面世界を描くことを主とする「ファンタジー」と呼ばれるジャンルこそ、最も高尚な物語ジャンルと認識してよいし、内面世界そのものを描く物語は、究極の物語とも言えるわけだ。
ブラックロックシューターは、傷付く少女の物語として、まずはその心象風景から先行してイメージされた世界だ。その心象風景を元に、アニメでは「現実」が生まれている。その過程は、現実では「逆さ」なのだろうが、物語としては「正しい」。現実は、現実があるからこそ心が生じるが、物語は、心があるからこそ物語が生まれるものだから。
正に、物語られる為に生まれてきた世界が、そのままアニメとして映像化されている。実際には、このコンセプトで作品を作り続ける事は、非常に困難なはずだ。物語られたい心のイメージがあるとしても、それを形にするというのは、無から有を生み出す作業にも等しい。なぜなら、心には形が無いから。形の無いイメージを、現実の物語にしていく作業は、すぐに陳腐化したり、ひどく歪んだものになったりしかねない。しかし、もしイメージをそのままに、ストーリーとして形に出来たら、非常に「深い」物語になりえる可能性を秘めていると言える。
マトという、純粋な瞳を持つまっさらな女子中学生を主人公に据えて、その彼女がBRSのイメージの中でどのように物語られていくのか、期待して見ていきたい。

イラストレーターhuke氏初画集「BLK」限定版 (figma BRSB同梱)

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