勇気と戦争と安全圏 〜モーレツ宇宙海賊 第5話〜

うーん、これ、サトタツは確信犯なのかなあ。この主人公、かなりひどい事しているよね。
つまり、何の義理も無い同じ部活のお嬢様達を自分の戦争に引き込んでいる。これは、先週から非道い事しているなあ、と思っていたけれども、それを実際に本当に非道い状況になる一歩手前まで描いていることからすると、やはり作り手は確信犯だという事になる。
人は、確かに自分のプライドのために大抵の事をする。けれども、それが実際に命に関わる事だとすれば、必ずしもそうでは無い。ヨット部として、大抵の危険は理解していても、海賊と同じ船に乗って、海賊と同様の戦いに巻き込まれるという事について、ヨット部員全員の理解が出来ていたのかというと、それはかなり疑問だ。つまり、ちょっとかっこいい事を言って、ヨット部員達を調子に乗らせて、結果命を賭けさせたという事。相手は犯罪者なのだから、例え命はとられなくても、仮に拉致られたらお嬢様たちどうなっていた事か。結婚前の火遊びとかじゃすまないレベルにもなっていたかも知れない。本当に非道い行いだ。
主人公の勇気を描きたい気持ちはわかる。けれども、それ以上に平和って大切だよね。もし、戦争の無い安全圏があるとするならば、それが仮に幻想だとしても(実際には幻想なのだけれども)、それを守る為の最大限の努力と配慮が出来るような人間で無ければ、それは人としてどうかと思う。
戦争とかを描くアニメでは、どうしてもこの手の「戦争と安全圏問題」が曖昧になってしまう作品が多い。確かに、その具体的な線引きは存在しないことが多いのだけれども、人の心の中には絶対的に存在する。だから、その心理描写を軽々しく描く作品は、どうにも許せない気分になってしまう。
この後の主人公の描写でも、この手の感覚は曖昧に描かれていくのかもしれないと思うと、少し気が重い。