ソードアート・オンライン 第4話 黒の剣士

今回は、全体的にバランスの取れた回だった。シリカの可愛さも充分描かれていたし。
実は詰め込みすぎなのは確かなのだけれども、エピソードの配分が絶妙で、実際には書かれていないのにある程度裏が推測出来るレベルまでになっている。実際にはもう少し描いて欲しいんだけれども。
例えば、シリカの過去。彼女については、彼女のような年少組が、こんな高価なゲームに最初からログインしている事自体、結構レアケースであるという事をまずは推測しておかないと、彼女の事を理解しきれない。彼女は結構調子に乗っているのだけれども、それはレアケースの中でもかなり頑張ってレベル上げをしている更なるレアケースであるからこそ。なので一寸したアイドルにもなっている。そして、なぜそうなれたのかというと、一寸した偶然でビーストテイマーという立ち位置を手に入れたから。逆に言えば、彼女はピナを手に入れなければ、生きていたかすら分らない危うい状況だったはず。なので、彼女のピナに対する依存意識はかなり高く、それを助けるキリトは、正に命の恩人以上に精神的な支えになったということだ。
そして、PKについて。悪役おネイさん、「ゲームだから人格も変わる」とか説明もあったけれども、その心の内はもう少し掘り下げて欲しかったかも。結局、彼女自身死のゲームに怯えていて、だからこそそれを信じたくない、ゲームだと思いたいがために、ゲームなら許される行動としてPKしている。けれども、彼女自身、本心では「死の実在」を理解しているので、最後のキリトの恫喝には抵抗できなかった、ということだ。
このPK、実はソードアートオンラインシリーズの柱の一つとも言えるもので、勧善懲悪的なエピソードではキーとなる概念。実際には、レッドプレイヤーにはもう一つ別の存在があって、殺人そのものを合法で行う事に喜びを見出している存在が出てくるので、それとの対比のためにも、もう少し解説が欲しかったところ。仮にも「人殺し」の動機な訳だしね。あっさり過ぎると、物語の本質を損ないかねないと思う。
そして、キリトの過去の話。これはある程度丁寧に描かれていたので、よかったかも。彼が何故ネットゲームにのめり込んでいて、今の地位を築けたのかという事が、うっすらと理解できたと思う。これは、有る意味、視聴者の感情移入先である主人公の人格を確立させるものだから、結構重要。けれども、だからこそあまり明確に描きすぎると、感情移入対象として弾かれることもあるから、この「うっすら感」がよかったりする。
いや、本当に詰め込みすぎで、構成的にも綱渡りで行っているよなあ。
実際、次回の「圏内事件」とか、全体エピソードからすると「死銃事件」まで直接的な繋がりが無いから、ここでは省いても良いんじゃないのかなあ。テレビシリーズをしっかり作れば、人気も上がって続編への期待が高まるから、こういう美味しいエピソードを後のOVAに廻すという判断できるはず。
なんか、最初に無理な構成を決めてしまって、後からドタバタしている感じがどうしてもするよ。毎回ハラハラし通しだ。