冒険王堀江由衣SaGaを読み解く 〜LIVE「堀江由衣をめぐる冒険」私的解説〜

いやはや、先日の堀江由衣ライブは衝撃的だった。たった一日、一公演の為に書き下ろされたライブの物語。二日連続なのに、題名が全然違うと思っていたら、内容も全く違うという、トンデモないライブ。その上、その内容は、今までの堀江由衣ライブで語られてきた「堀江由衣をめぐる冒険」シリーズの総集編として、 正にすべての内容が繋がっているとても凝った作りだった。
堀江由衣SaGa」ファンwとしては、この物語をどうしても今読み解きたい。なので、今までの物語も含めて語ってみよう。

  • 堀江由衣をめぐる冒険」〜冒険王の誕生〜

セカンドライブツアーの、所謂「無印」w。
この作品のコンセプトは「不思議の国のアリス」。堀江由衣がライブに急ぐ途中、不思議の国に迷い込んでしまうが、そこでは、出会った人物に変身してしまうという不思議な国であり、堀江由衣もウサギやクマや妖精などに変身してしまう。そこで、ウサギ達から「不思議な力を持った宝石の指輪」を王様に渡すよう託される。途中、悪者に宝石を奪われるが、「マーツウーラの剣」という光の剣を手に入れて悪者を退治し、王様に指輪を渡して世界を救う。そして、それは堀江由衣自身の夢だったという落ち。
今思い返すと、この物語こそが全ての発端であったと読み解ける。
出会った者に変化してしまうというのは、「鏡の国のアリス」的な要素もあって面白いが、実はこの設定に重大な秘密が隠れている。(そう妄想することが出来るw)
というのも、堀江由衣が最後に出会ったのは誰か。それは指輪を渡した王様。つまり、その王様が「鏡」だとすれば、堀江由衣は自らに「力の指輪」を渡して不思議な力を手に入れ、「不思議の世界の王」になったと言う事になる。
夢想から生まれた夢想が、鏡の夢想によって対面する現実の堀江由衣に力を与えた、と言う事になるかもしれない・・・。この発想は、今回の「堀江由衣をめぐる冒険4」に出てきた設定によって、現実味を帯びてくることになる。(その解説は後ほど)
こうして堀江由衣は、この時から、自ら望まずして力を持つ冒険王になったと言える。

  • 「由衣がサンタに着替えたら」〜永遠の冒険王として〜

このライブは、堀江由衣冒険譚に正式には入っていないが、今回の「時間泥棒」にも設定が出てくるところから、「堀江由衣」の物語の一部としてよいだろう。
クリスマスツリーのてっぺんの星に願いを叶える力があるという噂を聞きつけた堀江由衣が、星を探すうちに「クリスマスの国」に迷い込んでしまう。街中から知らぬ間に不思議の国に迷い込んで、特に悪玉も出てこないので、冒険譚とされていないが、ここでも不思議な力によって堀江由衣は「怪盗青マント」なサンタとなってサンタの替りを務める。そして、最後には本当のサンタと出会い、星を受け取り、願いを叶える事になる。
その願いとは、「あなた(観客)とずっと一緒に居られますように」。
この願いによって、堀江由衣の冒険が「永遠に」続く事が約束された。つまり、この物語があったからこそ「堀江由衣をめぐる冒険」が続いているとも言えるだろう。
ちなみに、この現実世界とされる物語の中で、堀江由衣は宝石の指環を着けている。

  • 堀江由衣をめぐる冒険2 〜武道館で舞踏会〜」〜力ある自分自身との戦い〜

堀江由衣二度目の冒険は、蜂の国の物語。そこはユイ女王の圧政に苦しむ国だった。実は、そのユイ女王は堀江由衣本人であり、強い力を得て自分のわがままが通ることにより、悪い心を開放してしまっている世界でもある。
堀江由衣をめぐる冒険2 〜武道館で舞踏会〜を読み解く(2009/9/22)
正に、力を持った勇者の内面世界を扱った物語と言えるだろう。
ちなみに、この世界では二つの光の剣が出てくる。一つは赤の剣「王女の剣」。もう一つは緑の剣「HONEY JET」。光の剣は言わば勇者の力の象徴ともいえ、堀江由衣の基本色である青色の「マーツウーラの剣」が、未分化だった勇者の力だとれば、この冒険によって二つに分かれ、正義の力が悪の力を制したと言えるだろう。また、この時から「ヒカリの舞い」という勇者の決め技も手に入れた。
この冒険により、冒険王堀江由衣は自身の心を制御出来るようになり、本当の意味の勇者になったと言える。

  • 堀江由衣をめぐる冒険3 〜Secret Mission Tour〜」〜「異世界」という外敵との戦い〜

ミスモノクロームという、明らかな敵が出てくる話。「無印」が勇者の誕生、「舞踏会」が自身との戦いと成長だとすれば、この「秘密」こそ、勇者が生まれた真の意味である、世界を救う戦いと言えるだろう。
世界をモノクロにしようと企むミスモノクロームに侵略されかけている森を堀江由衣は救う。この時より、堀江由衣は世界を救う本当の意味での勇者となる。
ミスモノクロームとは何者なのか。所謂機械帝国だが、その存在はかなり謎だ。堀江由衣は、一度機械帝国に捕えられ、機械の体にされてしまう。しかし、「声の力」を得ることにより、生身の体を取り戻す。機械化された森も、元の姿を取り戻す。
このことから、ミスモノクロームの機械化の力は、この世界の「生体物」を機械に「置き換える」力であるのではないかと思われる。つまり、ミスモノクロームの機械化は、彼女が元々居た「機械世界」を現実世界(生体世界)と同化させるものかもしれない。つまりミスモノクロームとは、どこかの誰かに開発された現実世界の機械ではなく、機械が全ての法則である「異世界」からの侵略者だったのではないか。
そう考えると、ミスモノクロームとは、ある意味パラレルワールド的な世界の存在であり、もしかしたらその世界の悪の勇者、もう一人の堀江由衣なのかもしれない。(声も一緒だしねw)
そのミスモノクロームも、堀江由衣の活躍により倒され、彼女だけはこの世界に残ってしまっているようだ。このことから、ある一つの可能性が示されている。

  • 堀江由衣BEST LIVE 〜由衣と時間泥棒〜」〜修復される世界〜

時間を操るタイムズ伯爵と出会ったことにより、過去を取り戻す旅に出る堀江由衣。そこで、今までの堀江由衣冒険譚に出てきたキャラクターが次から次へと出てくる。タイムズ伯爵が「偶然」失くした時間を操る懐中時計を手に入れた、前回までの敵クマスターとユイ20世が協力して、堀江由衣を苦しめる。
タイムズ伯爵の時間を操る力は強大だ。彼は、なぜ堀江由衣の前に現れたのか。
それは、堀江由衣という存在も同様に強大な力を持ってしまったからではないか。力が力を引き寄せ、この現実世界の秩序を維持しようとしたために、彼自身も意識せずに堀江由衣の前に現れたのではないか。
なぜ、前回ミスモノクロームは表れたのか。もしかしたら、それは現実を歪める力を持つ堀江由衣自身が引き起こしてしまった事かもしれない。だから、堀江由衣自身が倒したミスモノクロームは現実世界での存在を許されて、この世界に残っているのかも。ちなみに、ミスモノクロームの力が暴走したメカクマスター(黒幕と言われたが、改造された存在なのでそれは無い)も登場したが、それを倒した力は「赤の剣」であり、それは堀江由衣の「正義の力」そのものでは無かったりする。
堀江由衣は、なんとか敵を倒し、過去を取り戻す。しかし、結局タイムズ伯爵の「ミス」によって、この世界から1000年もの遠い未来に飛ばされてしまう事になる。

  • 堀江由衣をめぐる冒険4 〜パイレーツ・オブ・ユイ 3013〜」〜謎がちりばめられた、新たなる展開〜

この物語の冒頭はとても興味深い。海で満たされ海賊が跋扈する3013年の未来世界に,「二つの光」が現れた事が示されている。それは、おそらく堀江由衣とタイムズ伯爵の二つの力を意味しているだろう。(だんだん妄想が激しくなってきたですよw)
いや、この物語には沢山の謎が残っていて、明らかにするのが難しい。この光についても謎のままだ。
ここでも、勇者堀江由衣は海賊として活躍する。戦う敵は、幽霊海賊。やはり、超常の力を持つ者だ。しかし、幾多の危機を乗り越えてきた堀江由衣は、そんな幽霊の力に対しても、怯むことなく戦い、ミスモノクロームの助力も得て勝利する。(この時、ミスモノクロームの発する力は「緑の光の光線」だったりする。)
そして、一つ光は消え、堀江由衣はこの世界から元の時間に戻ったらしいと思われる最後となっている。しかし、それは明らかにされている訳ではない。もしかしたら、別の時間に飛ばされているかもしれない。
堀江由衣の最後の行動が不明瞭。これは、物語の最後に余韻を持たせるためなのだろうか。それとも、次なる展開への布石なのだろうか。
他にも謎がある。一つの謎として、海賊船とだけ戦ったミスモノクロームの活躍が報道されていること。これは、堀江由衣を送り返したタイムズ伯爵が、堀江由衣の願いを聞いて、単三電池をミスモノクロームに譲った後の話なのだろうか。
また、もっと大切な報道として、あの「指輪」が発見されたこと。これは「無印」にて、堀江由衣に力を与えた、この物語の根源の力そのものだ。つまり「一つの指環」だ。
これは何を意味しているのか。実は、やはり堀江由衣がこの指環を持っていて(それを自覚していて)、この世界から元の世界に戻る代償として、タイムズ伯爵に提供したのか。つまり、現代に戻った堀江由衣は、今までの勇者の力を失っているのか。それとも、未来にも残っていた「一つの指環」が発見されたことにより、また、タイムズ伯爵が残っているらしいと言う事から、未来を起点に新たな物語が始まる予兆なのだろうか・・・。
・・・
こうして堀江由衣SaGaは、今回の物語で今までの流れをまとめて大きな物語とし、そして拡散した。より大きな展開も期待できる終わり方だ。
堀江由衣は、自身でこう願っている。
「あなたとずっと一緒に居られますように・・・」
堀江由衣の持つ超常の力によって、きっと、この願いは維持されているだろう。
次の驚くべき展開があるに違いない。その時を、首を長くして待っていたい。

堀江由衣をめぐる冒険 TOUR FINAL ~Second Tour 2006~ [DVD]

堀江由衣をめぐる冒険 TOUR FINAL ~Second Tour 2006~ [DVD]

堀江由衣をめぐる冒険2~武道館で舞踏会~Q&A [Blu-ray]

堀江由衣をめぐる冒険2~武道館で舞踏会~Q&A [Blu-ray]