熱風海陸ブシロード

確かに、吉田直氏が亡くなった時にはかなりの衝撃だったけれども、その遺産とも言える作品がこのような形で発表にまで至ったということは、それ以上の驚き。その過程には胸を熱くせざるを得ない。幾多のアニメ作品にも、これほどでは無いにしろ完成に至るまでのドラマがあるのだろうなあ、とか感慨にふけってしまうほど。
しかし、バッサリ言ってしまうと、こういう過程を辿った作品に期待は出来ない。作りあげる事だけが目的になってしまい、内容が伴うかが別になりかねないから。特にこれだけの時が経ってしまうと、時期を逸したりして状況は悪くなるだけだし。作品は時代と共にあるべき。
見てみて、その予想結果を確認することに。特に厳しいのが、ファンタジー設定であること。ファンタジーは時代を移す鏡だから、空気が違うと全く「嵌らない」。
このファンタジーは80年代の手法。キャラ達の生き様があって、それを構成させるための世界を設定するという手法は、今は全く逆じゃないといけない。今は現実に通じる「世界の問題」があって、それに人の力では抗えなくても対応していく人の生き様を描くべき。そういう風潮になりつつある。
まあ、この作品が作り上げられたこと、それこそが大切なエピソードといえるか。