ラブライブ!の成功に寄せて・・・

今度のライブ予習のためにμ'sのライブ映像とかみているのだけれども、改めて彼女たちの成功については深い感慨がこみ上げてくる。というのも、この成功は「μ'sの成功」だけではなくて、長い歴史のある「アイドル声優の成功」として、過去の積み重ねが集約していると思えるから。
私は、アイドル声優が好きで、アイドルアニメが好きだ。その上でアニメイベントも大好きで、つい足繁く通ってしまう。しかし、その今まで参加してきたイベントにはどこか何がしかの不足を感じていた。
声優がいて、アニメがあり、歌とダンスがある。ならば、そのイベントではそれらの融合がもっとあるべきではないかという理想像が当初からあったから。そういった要素を一つでも多くクリアしているイベントを求めて、より理想に近いイベントを追い求めていた、と言っても良いだろう。

  • らいむ隊(2003年)

イベント通い最初の頃に目にしたユニット。そもそもここから入ったのがクソイベンターの修羅道に囚われた元凶かw。
コスプレをして、ダンスを披露しながら主題歌を歌う。アイドルアニメではないが、アイドル声優押しが強いコンテンツだった。この前には「サクラ大戦歌謡ショウ(1997〜)」というゲームコンテンツと声優のミュージカルを融合した最上級エンタメが存在したが、それをアイドル声優コンテンツとしてダウンサウジングしたと言えばよいだろうか。ステージ上でキャラのコスチュームを着てダンスを披露するアイドル声優はやはり衝撃的だった。
話題性は大きく声オタ内でも爆発的な人気があったが、アニメの内容はイロモノ的な要素が強く、続編も作られたものの、その人気がそれ以上大きくなることはなかった。
とはいえ、これ以降のアイドル声優のパフォーマンスは、ここまで出来るかどうかが本気度の指針になっていたように思う。

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キャラソンCDがオリコンを席巻し、アイドル声優が売れるという事を世に知らしめた作品。らいむ隊くらいまで裏街道的なアイドル声優の存在が表に出始めるきっかけと言っても良いだろう。漫画の盛り上がりは凄く、イベントにおける声優の頑張りもあったが、アニメの出来がイマイチで尻すぼみになっていったのは残念で仕方がない。

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歌唱力において実力派声優をOPEDに使うと共に、アニメ作品がスマッシュヒットとなり、水樹奈々田村ゆかりというアイドル声優の二大スターを世に知らしめた作品。アイドル声優と作品の出来の相乗効果によりオタク文化の花形とも言える存在となった。その売上への貢献から、作り手にアイドル声優の歌唱力の底上げをより意識させるきっかけとなっただろう。
その楽曲はリリパで歌われる他は声優ソロライブで披露され、声優のソロライブの活況に繋がっていった。

らぶドルは年代的にどの位置に存在していたとすべきか結構迷う。コンテンツ的には2001年からあったが、実際にアニメ化したのは2006年。息の長いコンテンツだ。そして、この作品の構造はどこかアイマスを思わせる。作品として低く見られがちwの今作だが、アイドルコンテンツの定型にたどり着いていたと思うと、価値ある作品だったと思う。
そして、TVアニメ化に伴い2期メンバーキャストがライブイベントを展開していたのも貴重。たった数回の、コスプレで着飾ったキャストのライブは、その錚々たるメンバーを今思えば伝説的だったと言える。とは言え、やはり作品の内容が伴わず、その活躍は長く続かなかった。

アイマスの出現は衝撃的だった。ついに3DCGアニメで萌えキャラを生み出す事が出来る時代に突入したのだから。それはアイドルアニメコンテンツにおいても重い意味を持つ。つまりアイドルのダンスを自由に表現出来るということ。
この時より、アニメでアイドルのダンスがより自由に作り出されることになり、それはつまり、アニメイベントにおいて、現実のアイドル声優とアニメキャラの融合が実現できると言う事でもある。
しかし、アイマスイベントにおいてその事を具体的に意識することはあまりなかった。1stライブでこそゲーム映像をバックスクリーン流しダンスを似せる努力はしていたが、シンクロさせる意識は無かったようだ。その後もライブでゲーム映像を流す事はあまりしていない。
唯一、若林直美が自主ライブなどで完コピダンスを披露してアイマス神と呼ばれたりしていた。今考えると、このアイマス神こそが後のラブライブに繋がっていたとも言えるだろう。

アニメブーム中興の祖ともなったハルヒのハレ晴レダンスもイベントとアニメの融合という点で重要だろう。京アニによる神作画のダンス映像を真似してニコ動で配信するオタクが多数発生。アニメとのダンスによる融合の楽しさを、受け手側も教授することになる。このアニメダンスの楽しさは、後に幼児向けプリキュアダンスにもつながっている気がする。
アニメイベント的にも、そのハレ晴レダンスブームに乗り本家キャストもイベントで完コピダンスを披露して大盛況だった。

きらレボこそ、00年代のアイドルアニメを語る上で最も重要な作品なのだろうが、同時に苦い想いともつながっている。キャストは実際のアイドルであるモー娘。と連動して、イベントも行っている。つまりそのイベントはハロプロライブの一形態となっており、十分な盛況だっただろう。
しかし、そのキャストがアニメキャラを通過点的な発言をしたりして、世界の違いを感じさせる事もあった。そこにはアイドルアニメと実際のアイドルの壁があり、それは秋葉原出身のAKBがアニメと接近した「0048」で声優志望アイドルの存在が知られるまで頑強なものだったという証となっていたと言える。

アニメの中のアイドル、併せてライブイベントという2点において欠かせない作品だろう。菅野よう子という天才と二人の歌姫によるライブイベントは、その完成度の高さからより幅広い層の客をアニメライブイベントに招き寄せる事になった。
水樹奈々田村ゆかりのなのはチームと、マクロスFという二大コンテンツが、この後のアニメイベントコンテンツの幅を広げ、今に続くイベントブームを招いたように思う。

  • その後

2010年代に入ると、けいおん!から大人気のスフィアが生まれ、ミルキィホームズが頑張り、RO-KYU-BU!やごらく部も活躍するなど、イベントを盛り上げる声優ユニットの成功例が多数生まれる事になる。
そして、AKBの活躍によるアイドルブームの影響からか、アイドルアニメコンテンツも多数生まれた。
しかし、プリティリズムに力を貸したLISPなども決して長続きせず、アイドルアニメで活躍する声優ユニットと言えば、未だにアイマスの一人天下とも言えた。
やはり、真っ新なアニメアイドルコンテンツで、その作品の為のキャスト選びからイベントの事も視野に入れた企画を、今までに培われた技術や考え方で作る必要があったのだろう。
そして、・・・生まれたのがラブライブ!だった。
それは、アイドルダンスのアニメ映像にも力を注ぎ、イベントにおいても決して妥協せず、そのアニメ映像とのシンクロしたダンスを披露するコンテンツだった。そのアニメとイベントの融合の理想形とも言えるコンテンツが、今、広く認められ大成功している。
ラブライブ!の成功を見て、改めて、過去のアニメコンテンツを振り返り、感慨に耽っている。