アイカツ!の積み重ねと大きな流れ 〜スターアニスの再来と動き出すトップスター〜

先日、最近のTVアイカツが物足りないと書いたばかりなのだけれども、ここに来て一気に盛り上がっている自分が居る。やはり地道な積み重ねがやっと活かされ始めたということかもしれない。

まず最初にその積み重ねを見せつけたのが、霧矢あおい。
この回の素晴らしさについては、中の人がブログで書いている。それが全てと言っても良いくらい素晴らしい感想だ(^^)。
http://ameblo.jp/azusa-tadokoro/day-20140227.html田所あずさオフィシャルブログ「不安でしょうがないっ!」2014/2/27「アイカツ!映画化」)
この回で、あおいは織姫学園長から「学園の柱」と目されている事すら示されている。学園長は、常に一歩引いた視点を持っているあおいに、マスカレード時の自分の立ち位置を重ねている可能性があるだろう。勿論、ヒメとあおいのアイドルとしての性質は違うだろうが、そのあおい独自の資質、より公平な視点と広い見識こそが、スターライト学園の次代学園長に成りえる資質と評価しているのだと思える。
その評価の説得力は、第1期シリーズを通じていちごをサポートしてきた彼女の姿勢があればこそ。その「あおいらしさ」の積み重ねは大きい。
本来、アイドルは誰よりも前に立つことを望む存在として、サポート役である事を喜ぶべきではないと思うのだけれども、彼女のその積み重ねの大きさが彼女のアイドルとしての大きさであり、それこそがアイドルの類まれなる個性と成っている。
その奉仕精神、自己犠牲からくる彼女への救い、成功の約束は、大きな感動の物語だ。
ともあれ、この回はアイカツの遠い未来すら指し示す、非常に大きなエピソードだったと言えるだろう。

  • ハッピィ☆アイドルフェス 1st DAY!

次に描かれたのが、星宮いちご
この回の主人公は実はセイラなのだけれども、実質、存在の大きさを示したのはいちごだったと言える。セイラがいちごの態度を見習うことにより、今までバラバラだったドリアカの要となり、まとめる存在となる。
ドリアカは、今までスターライトに対抗する存在としてより強くあろうとした為に、個々の個性は強くても互いの心の繋がりが少し疎かになっていたように思う。それは、前々回「クールエンジェルス!」の時に4人でチームを組んだことによって、逆に明らになったと言える。
どんなに輝かしい存在であっても、繋がりが見えない存在は脆い。なぜなら、見る者にとってその存在の立ち位置が捉え辛いから。唯一許されるのは孤高にしてトップに立った者だけだろう。
セイラはいちごの考えを受け入れ、そのセイラに呼応してドリアカの4人はアイドルとしてステージ上でもチームになる。
そして、それが後の展開への布石になっていく。

  • ハッピィ☆アイドルフェス 2st DAY!

ここでの主人公は、有栖川おとめ。彼女が神崎美月に続く当代のスターライトクイーンとして八面六臂の大活躍を見せる。
その姿、その必死さは、涙を誘うほど。何故なら彼女は、ある意味「仮初の」クイーンだから。
美月が居た時、美月に最後まで対抗出来た者は星宮いちごだった。そしておとめがクイーンの座を射止めた時、美月もいちごも居なかった。いちごが帰ってきた今、真のクイーンは誰なのか。その疑問は、何事もポジティブなおとめにして、同時に何事にも真面目な彼女だからこそ、十分自覚している事だろう。
だから、おとめのとった行動は、実はかつてのいちごの行動の引き写しだ。かつてのいちごも、自分そっちのけで他のアイドルをサポートすることを厭わなかった。いや、それはおとめ本来の性格から十分あり得る行動なのだけれども、ついうっかり自分のステージを忘れるほどに自身を追いつめていたのは、やはりいちごの影を意識していたからだろう。
ついでに言えば、より広い視野からスターライト学園全体を俯瞰し、その上でいちごのすぐ隣に居続ける存在、あおいの事もおとめは意識せざるを得なかっただろう。さらには、美月と共にトライスターとして活動した紫吹蘭の存在も大きい。この3人、つまりソレイユよりも何かを成さねばならないというおとめにかかるプレッシャーは相当なものだったと思える。
ソレイユをヘッドライナーとし、頑なにそこに入る事を拒むおとめだが、しかし、ソレイユの説得と皆からの期待を知ることにより、4人のチームとしてステージに立つことを受け入れる。タレントの多いスターライトだが、こうしてクイーンおとめとそのクイーンが一目置くソレイユという、4人が揃うことになる。
そして、この二日間のアイドルフェスにおいて、互いの学園から図らずも4人ずつがヘッドライナーを務める事になり、その後行われた人気投票では、拮抗しつつスターライトが勝利する。

  • 「ドリームスター」と、対立する存在「美月」

この2チームは今後も一緒に活動を続けるという。そのスターライト学園とドリームアカデミーの二校の合同チーム「ドリームスター」は、新たな8人、云わばスターアニスの再来だ。
かつてのスターアニスは美月のトライスターを中核として8人が揃った。当代随一のアイドルであった美月がチームの要として存在していた。しかし、美月が中心にいたスターアニスは、実はその発足は美月の発案によるものではない。織姫学園長がかなり強引にまとめ上げたチームだったと言える。美月はスターアニスで一時の充足感を得ていたようだが、彼女の本来目指していたアイドル像からすると、彼女がそのチームをどう捉えていたかは不明だ。美月は心の底では受け入れられず、それがスターライトを出奔した原因になったのかもしれない。なぜなら、たった一人で実力主義の権化として孤高に進んできた美月にとって、ある意味相反する存在だったから。
対して、今回のドリームスターの要は誰か。それは当代スターライトクイーンおとめが意識する存在であり、ドリアカの4人をセイラがまとめる切っ掛けになった存在、つまり星宮いちごだろう。織姫の志をごく自然に引き継ぐな形で、しかしある意味必然としてその立ち位置に居る。何故なら、織姫の意識にはきっとかつての相方マスカレードのミヤの存在があるから。
美月は、このドリームスターの発足に呼応して動く事になりそうだ。彼女はドリアカを影から支え、その精神はティアラを通じてセイラなどに伝わっていた。にも関わらず、結局セイラはドリームスターに取り込まれた。かつての自身の様に、織姫の、ひいてはミヤとその娘いちごの考え方に飲み込まれてしまった。しかし、今回そのドリームスターの中心には自分では無くいちごが居る。美月が常に意識し、しかし自分の方がより大きく、優位な立場であったが為に、対等に成り得なかった星宮いちごが、かつての自分と同じ場所に立っている。美月が自身の考え方を示すとなれば、今を置いて他には無いだろう。
今までの描写の積み重ねがここに来て全て繋がり、一つの大きな流れが生まれつつあるように思う。これから本当の星宮いちごと神崎美月の戦いが始まるのかもしれない。楽しみで仕方が無い。