ラブライブの二期が生温い

なんだか不思議だ。どうしてこうも二期は生温いのだろう。
ラブライブは、少なくとも第一期は結構キツめの話が多かった。まずは廃校の危機、次にスクールアイドルという方法を見つけてどんなに頑張っても観客がまったく来ない。部活を立ち上げようとすれば意地悪な先輩wがそれを邪魔する。生徒会長からは理不尽なほどのダメ出しをされ続ける。やっとメンバーが揃って初めてラブライブ参加というスクールアイドルとして本来の活動をしようとすれば、そのステージがない。雨天に無理矢理ライブをすれば風邪をこじらしてリーダーが倒れる。廃校の危機が取り除かれても、メンバーの一人が人生の岐路に立ちグループ崩壊の危機。友情にも亀裂が入る。その影響で、目標であったラブライブには結局参加出来ない。
これほどまでに艱難辛苦に見舞われているアイドルグループって一体(^^;)。μ'sって絶対呪われているでしょ…てレベルw。
実際のところ、この展開は物語構成的に充分理解できる事ではある。ジェットコースタームービーなんて次から次へと難題を提示することで視聴者を飽きさせないもの。アメリカの危機を救い続ける不死身の小山力也の活躍と同じと考えれば良いだろう。そう思えば実に良く出来ている。そういえば、あのテレビドラマシリーズでは最後に必ず視聴者を落胆させるような悲劇を描いていて、それが次のシリーズへの「引き」になっていたけれども、ラブライブでもμ's最大の目標であるはずのラブライブへの不参加というある意味物語として未完成的な結末だったのは、そういった効果も狙っていたからかもしれない。
しかし、第二期になった途端、このような方向性がガラリと変わっているのはどういう訳だろう。
ラブライブへの再度の挑戦、それも発足して1年も満たないユニットが全国区であるA-RISEを倒して全国優勝を目指すなどという目標は、言ってみれば明青学園が甲子園初出場でいきなり優勝しちゃうよりも現実味がない。非常に困難な目標と思えるのに、各メンバーの緊張感がまったくと言って良いほど感じられない。
大きな夢を持つのならばそれを現実化するために想定される様々な課題を検討し、クリアする心構えとか努力とかがありそうなのに、なぜかそういった展開にはなっていかない。目の前に提示された当然あるべき予選とか、野良試合とかを受けるばかりで、いつまで経っても受身な態度で状況に流され続けている。
そんなんで、お前ら他のもっと必死にやっているやつら(がいるかもしれない)に勝てると思っているのか? 
パンツ見せてでも頑張るWUGとかに負けちゃうよ、とかw。
…実際のところ、この構成の意図も分からなくもない。前回第一期もそうだったように、作品「ラブライブ!」の目的はラブライブの優勝者を描くことではない。ラブライブという試合をダシにして、それに関わったアイドル達の心情を描く事が目的だろう。
一期では、最初はラブライブそのものも目的ではなく、学園救済という目標の中でメンバーのアイドルに対する想いが高まっていく過程が描かれていた。それは最終回に彼女たちが当初掲げた一つの到達点に辿り着いたと言えるだろう。
なら、第二期ではそんな一つの到達点に辿り着いたアイドルたちのどんな心情を描いているのだろうか。
それは、彼女達が共にアイドルとして過ごしている事、その中で幸福な学生生活を過ごしていること、そのものを描こうとしているのかもしれない。幸福とは心の充実だ。第一期のジェットコースターは確かにドラマとして楽しくもあったが、各キャラの心情の深くまで描けていたかと言うと、やはり足りていないメンバーも居ただろう。各キャラの心の有り様を描き、それが満たされていくことを改めて描くには相応の時間が必要だろう。また、学生生活の充実としての三年生の卒業と、それを強調する生徒会の世代交代劇などを実に丁寧に描いている。これらに時間がとられれば、どうしたってμ'sの目標であるはずのラブライブに関する心情描写が疎かになるというものだ。
しかし思うのだが、それではμ'sのラブライブ優勝という目標とは一体何だろう。
自身の自己表現の為? それはアイドルとして実に純粋な目標の立て方だろう。アイドルとはただただ自己表現を求める者であるべきで、その想いが純粋であればこそ、観客から愛されるアイドル足り得ると思う。
しかし、それでは物語にドラマが生まれない。例えばこのままμ'sがA-RISEが勝って、ラブライブに優勝したとする。卒業後は芸能界に嘱望されるほどのA-RISEに、特に目的を持たないμ'sが勝ってしまうとする。その時、その勝利は視聴者から認められるモノだろうか。ドラマの無い試合に勝つことは、まるで八百長試合にしか見えないだろう。
ここ最近のラブライブの展開は、心温まる話ばかりでそれなりに楽しい。しかし、その先には全くμ'sのラブライブ優勝が見えない。そしてそれは、今のところ物語「ラブライブ」の充実した大団円が見えてこないということにも繋がっていく。
心温かくも生温い展開で、ここのところ楽しくもやきもきした気持ちで二期を見ている。
とりあえず、来週はテレビの前でUO待機かなw。