プリパラ第1話 〜真のアイドル物語への革新〜

このアニメ、あくまでプリティーリズムの後継作として、世界観に共通項があるようだけれども、実質的にはかなり大きな変更がある。
プリリズ世界において最も重要な力は何か。それは「ファッション」だった。アイドルの物語の様でいて、実はプリリズ世界はアイドル物語ではない。あくまでファッションをコーディネートする店がメインであり、プリズムショーによって店に所属した者が競う。それが原点。では何によって競うのか。勿論プリズムショーなのだけれども、そのプリズムショーでは実はファッション能力を持った者が一番力を発揮することとなっている。この世界においてファッションセンスこそ至高。その至高の力をもった者、例えば一期のあいらなどがプリズムショーによって最高の力を発揮する世界と設定されていた。
しかし、この設定は扱いが難しい。実質的に競っているプリズムショーはアイドルのダンスショー的なものであり、それは物語の中ではアイドルのように資質と努力の両立によって鍛えていくものということにしないと説得力が無い。ファッションセンスが至高などという無茶な設定は、特別な存在として描かれている「あいら」くらいにしか通用せず、他は結局努力と根性の物語にせざるを得ない。
更にパラレルワールドとなったレインボーライブでは、よりややこしいことになった。あいらのように明確にファッションセンスを至高とする設定は曖昧になった。代わりに心の煌めきとか、精神性によってのみ高度な技が発揮できるようになる。その為、大して努力をしていなさそうな主人公達が、特別な理由も無く努力を惜しまないライバル達を倒すというかなり理不尽な展開をしていたと思う。物語はドラマチックに展開していたが、その実内容的には色々問題を抱えていたと思う。
プリティーリズムというコンテンツは、あくまでファッションという外的な要素にこだわるコンテンツでありながら、プリズムショーという自身の身体を使った素質や努力などが必要になるアイドル的な設定を付けた時点で、その設定そのものに構造的な矛盾を抱えていたのかもしれない。
しかし、今回、プリパラによってその設定が大きく変わりそうだ。実際には今回のプリパラもファッションにこだわりを持つゲームコンテンツとなっている。しかし、アニメの物語ではファッションの力はあくまで補正要素としか扱っていないようだ。
その代わりに主人公に与えられた能力はプリズムボイス。この物語は特別な声を持つ者に特別な力が与えられる物語となりそうだ。声はキャラクター自身が持つ素質だ。この設定がゲームに反映しているかは不明だが、それはあまり問題出来なく、その声という身体的な素質を努力で鍛えることによって成長していくという設定であれば、物語として十分な説得力を持たせることが出来るだろう。それは誰もが想像出来るアイドルのサクセスストーリーだから。
よくよく考えてみると、本当にプリティーリズムというアニメは凄い作品だった。ファッションセンスをアイドル的な力に変えるという無茶な「ファンタジー」を、受け手に不思議に感じさせることなく、ずっと続けてきたのだから。
しかし、世はアイドル全盛時代。アイドル物語が他に幾多も生み出されているご時世だ。この時代の受け手に合わせて、よりアイドル的なイメージを強め、アイドル物の王道を改めて描こうというのが、このプリパラのように思う。
その狙いは正しいだろう。プリバラの今後の展開に大いに期待したい。

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