最近のアニメの流れについてだらだらと語ってみる 〜ドロドロシビア系とアイドル系の流れ〜

ジブリが解体だとか、そういうニュースをみると時代の潮目を意識してしまう。そういう空気感を認識していたい、そして文章にしたい性分なので。まあ、チラ裏だよね。

  • オタク的アニメ認知の流れ

アニメ業界がオタク文化と称される、言わば元々は子供向けだったものを少し趣味の偏った大人達が喜ぶものというイメージから、誰もが当たり前に楽しむコンテンツとして認識されはじめたのは、実際にはつい最近のことだと思う。
クールジャパンとかの言葉を聞くと未だに無理しすぎなイメージではあるけれども、それでも十数年前の「劇画を読む大人」くらいの感覚で、今ではアニメを見る大人が受け入れられてきている気がする。
そのより広い層に受け入れられる流れにもやはり段階があって、本当に少しずつ薄皮が剥がれるように受け入れられて来ているものだから、どうしても認識しづらい。
例えばエヴァが受け入れられた時は、一般層にとってみれば難解でよくわからんオタク向けロボットアニメだったろう。けれども、オタク的異質なものでも内容的にはしっかりしていたものだから、それが話題になっていたりすると、その異質さを認識しつつ大人向けとして認めて良いかなと思ってみたり。
けいおんの時はどうか。これは萌えアニメというオタク要素が強く打ち出されていたけれども、この時代にはハルヒとかのアキバブームを超えて、そういったオタク的世界観に浸ること自体が少しだけ許容される余裕が出てきていた。
化物語もやはりオタク的作品であることに変わりはないが、よりスタイリッシュで一般層でも軽く見られる感じになっていたと思う。

  • ドロドロシビア系の確立

で、少しだけ様相が変わってきたと思えるのが、まどマギ。これも魔法少女とか梅キャラとか、表面は徹底してオタク的コンテンツなのだけれども、中身は超シビアで人間のドロドロを描くこと、言わばエンタメの極致を描くことを真正面からしている。これって一般のドラマでもエンタメのヒット作狙いに持っていける要素だろう。
オタク系の物語はどうしてもヌルいものが多い。やはり子供向け快楽を前提に作品作りをしてきた流れがあるので、どうしてもそういったニュアンスが強くなる。シビアな作品についてはアニオタが喰い付かなくて、話題にもならないものだから一般にも届かないという状況があったのかもしれない。
化物語とかもある程度下地には成っていただろう。それをまどマギは一気にドロドロシビアの極致までもっていって大ヒットとした。
そうなると、そういったエンタメの極致をアニメで描く事がOKだとなってくる。そして、「巨人」の進撃。ここまでくると、アニメだから見るのが恥ずかしい、という一般層の認識もかなり減ってきているのではないだろうか。巨人とか軍隊とかもハリウッド映画のSFと同列の認識で普通のエンタメとして見る事が出来るようになってきている。
で、今のアニメはそういったドロドロシビア系のオンパレード。この手のアニメって、昔から少しはあったけれども、どれもあまり評価されていなかったはず。その昔は原作が良くてもあまり期待されていないからスタッフ的にも恵まれずに凡作、ということもあったろうし。とにかく、今は次の大ヒットを飛ばそうと、なんだか今まで放置されてきたようなドロドロシビア系作品に注目が集まっている状況だ。

  • アイドル系の認知

また別に、オタク的コンテンツを広い層がオタク的に楽しむという流れもある。それはやはり一般的な認知も高いアイドル物。
マクロスFはやはりその流れだっただろう。ライブステージとかも頻繁に行い、アニメイベントの勢いを強めた。
今はラブライブの時代。クオリティの高い内容、ステージを、例えそれがオタク的だとしても、かなりの広い層が受け入れてくれる時代となっている。
因みに、ラブライブ的には第二シリーズでかなりのクライマックス感を出してしまっているので、次の劇場版があるものの今はかなり落ち着いてきている気がする。
そして、そのラブライブより前からあって、拮抗しているのがアイマス。これは云わばゲームコンテンツ系の流れであり、そのマスは実は相当に大きい。ただゲームコンテンツ系は自己完結的で、一般層はゲームとして面白いかどうかというところに尽きてしまうのだけれども、それがアニメ化、ライブ展開などが順調な事によって人気の表面化が顕著なように思える。
アイマスはアニメ化の大成功をラブライブに一時喰われた格好だったと思うのだけれども、デレマス、ミリマスなどのモバイル展開によって、少し落ち着いたラブライブを巻き返すかもしれない。

  • 艦これの胎動

で、気になるのが艦これ。このコンテンツもゲーム系コンテンツとして非常に大きなマスを獲得している注目作。今ではオタク的コンテンツの半分を喰うほどの勢いと言って良い。
ただ、このコンテンツは今までの流れからするとかなり異質。いや、直截的というべきか。
ドロドロシビアな流れから言えば、太平洋戦争を題材にしているので、正にシビア。しかし、それは表面上萌えキャラによって隠れている。
またアイドル系の流れから言えば正に沢山のアイドル的存在が登場しているといえるのだけれども、それは実際には軍艦を模した存在。
オタク的アニメが一般層から受け入れられる流れとしてのドロドロシビア系とアイドル系を、旧日本海軍というナショナリズムの点で危険な題材で強引に融合させており、あまりに直截的かつ異質な作品だと思うのだけれども、それがゲーム性の素晴らしさから認められ、大ブームとなっている。
そんな作品が今度はアニメになるという。より広い層に認識されるプラットホームに提示される訳だ。
これが一般層にどのように受け止められるのかと思うと、実は少し不安。
ジブリというオタク色の消臭されたアニメの一つの柱が消えようとしている今、もう一つの柱であるオタク的アニメの流れが一般層とどうぶつかっていくのか。その代表選手として艦これがでて来たとしたら、なにやら不穏な状況が生まれるのではないかとか危惧してしまう。
はてさて、どうなることやら。