「魔法少女リリカルなのは」を語りたおす Ⅴ 第3期シリーズを望む

無印とAsによって、なのは達の成長の物語はほぼ全て描ききっているといえる。特にフェイトは両シリーズを通してバランス良くその心の軌跡が描かれているので、かなり満足している。しかし、それでもまだ望むべきことは多い。
一つには、なのはの家族との関係の決着が描ききれていない。これは台詞無しのシーンで少し描かれているが、なのはの心の有り様を定めていた重要な問題の描かれ方としては明らかに足りていない。もしかすれば、なのはの戦う動機について結局理解しきれない視聴者がいるかもしれないので、かなり重要な事だと思う。また、このシリーズの当初のテーマの一つとして家族との関係を描くというものがあったはずだ。これが未消化のままであるのはあまりにもったいなさすぎる。
あと一つは、やはり新米魔法使いとなったはやての心の決着である。守護騎士団の監督という立場がある以上、彼女の進むべき道は決まっているが、それでもそれをどのように扱うかという彼女の決意表明は実感を持って描かれていない。多くの悲劇を起こした魔道書の所持者であった者としての、(彼女の責任ではないとしても)償いの心からくる葛藤などもあるだろう。なのは達との絡みも含め描かれていない事が多すぎるキャラといえる。
また、フェイトにしても彼女の辛すぎる過去に対する報われた後の描写はいくらあっても良いだろう。
6年後の後日談が描かれた今となっては難しいかもしれないが、それでも、1話完結の外伝集にするとか、描く方法はいくらでもある。昨年冬コミのなのはブースの賑わいは尋常なものではなかった。(私などは取り付く事すら出来なかった)続編に期待しているものが多くいることは、製作者側も充分理解しているはずだ。最終的なDVDの売上などにもよるだろうが、是非第3期を検討して欲しいものだ。