「魔法少女リリカルなのは」を語りたおす Ⅳ 新シリーズの描き方

この様に、なのはとフェイトは互いの存在を認識しあった以上、自分の中の戦う動機において迷う事は無い。As第1話において、最も感動すべきシーンは、なのはの危機にフェイトがかけつけるシーン・・・では無い。この半年間、普通の小学生だった少女が、毎日欠かさず行っていたという魔法訓練のシーンこそ、それにあたるだろう。
新シリーズでは、彼女達の心の成長によって得た成果が試される。対するは、より強い意志を持つと思わせる強大な武力を持つ存在。どちらの意志が強いのかがその決着をつける、正にガチンコの勝負と言える。なのは達は自分が正義と信じる事を貫き続け、その強大な敵、ヴォルケンリッター達の哀しい宿命を削り取っていく。その過程で「悪魔」と呼ばれようとも、避け得ない悲劇が待っていようとも。そして、最後には人間の意志をも越えた膨大な力との戦いにも立ち向かっていく事になる。
また、フェイトはその最中、自分の過去に決着をつける。彼女にとって、正義の為の戦いの道を進む事は、他に選択肢が無かったという面もある。もし自分に幸福な家庭が用意されたのならば、戦う必要が無いのではないかという疑念。しかし、今は彼女にもなのはという存在がある。夢の中の試練を乗り越えることによって、フェイトはより明確になのはと同じ道を歩む事ができるようになる。