ネカネの正体

ネギま!184時間目の中で、一つ不自然な描写がある。それは、ネカネが明日菜に語りかけていない、という事。
ネカネが主に語りかけているのはいいんちょだけである。しかし、それはおかしいだろう。ネカネはネギが明日菜と同居している事を知っているし、一番付き合いが深いことも知っているはずだ。実際、アーニャも明日菜の事を一番に気にしていた。一応ネギの身内であるならば、明日菜はネカネにとって一番に挨拶するべき相手のはずだ。
では、なぜその描写が無いのか。
それは、ネカネが明日菜に対して、ネギの同居人として以外に、心に掛かる事があるからではないだろうか。
実のところ、ネギとの関係において、ネカネの素性はあまり良く分かっていない。
ネカネはネギの実の姉ではない。ネギが「おじさん」と呼ぶ人物に保護されていて、ネカネがその娘だからそう呼んでいるようである。ネギとおじさんと呼ぶ人物との間に血縁関係が無ければ、実はまったくの他人なのだ。
しかし他方、ネカネの正体を推測する材料は、既に出揃っているといえる。
ネカネは明日菜とその面立ちが似ている。それは、ネギの指摘はもとより、明日菜自身も自覚できるほどである。おそらく万人にそう感じるのだろう。
さらに、ネギに言わせると、匂いまで同じそうだ。匂いが似ているという事は、その人の体質までもが酷似していると考えていいだろう。ここまで似ているとなると、単なる偶然とは思えない。おそらく、この二人には血縁関係がある、つまり、明日菜とネカネは血が繋がっている、と考えた方が、これらの伏線に対して自然と思える。
しかし、ここからが難しい。
明日菜の血縁とは、どんな存在か。
明日菜は、実は元不老不死の存在であり、その生まれた年すら定かではない特殊な存在だ。そんな明日菜に血縁と呼べる者がいるのだろうか。
ただ、それを探すのに一つの可能性がある。
明日菜は、いやアスナは王族だという。そう、169時間目に回想で描かれた、アスナを「使い」ナギに助けられた国の王族とは血縁関係になると思われるのだ。つまり、ネカネはあの国の王族の娘、つまりお姫様ならば、アスナと血が繋がっている可能性があるのではないだろうか。アスナの生まれた年が定かではないので、一体「何代」離れているのかも定かではないがw。
ところで、ここで気になるのがネカネの父「おじさん」である。彼はナギから(直接ではないが)ネギを引き取って育てていた。そして、あの村が悪魔に襲撃された際、陣頭指揮を取っていた様子が描かれている。それらから考えると彼こそがあの国の王だったのではないだろうか。そう、169時間目において、あの国で指揮を執っていた人物、ナギに「ジジィ」と呼ばれたベールをかぶった人物こそ、ネギが「おじさん」と呼んだ人物だったのかもしれない。大戦の後、一度はナギに助けられた恩義を感じて改心し、ナギの助けとなる行動を取っていると推測できるのだ。そしておそらくは、あのネギの村には、「大戦」の後アスナを失い滅んだあの国の難民が多く居た可能性もあるだろう。
もし、このような経緯が正しければ、ネカネは明日菜に対してかなり難しい立場に居るといえるだろう。
ネカネの生年は定かではないが、おそらく大戦終了前後の生まれだろう。つまり、アスナを直接記憶しているかどうかは不明だ。しかし、ネギの村が滅んだ頃には、自分の祖国が如何に滅んだかという経緯を父から聞いていて然るべき年齢にはなっていた。ネギとの文通によって、自分と容姿の似た、自分と因縁浅からぬアスナという名前の存在に気付いてしまっている可能性はかなり高いだろう。
そして、もしそうならば、ネカネはアスナに対して、正直に血縁として正体を明かしたいし、一族を代表して謝りたいが、当の明日菜が記憶を無くしているのでそれは出来ない。どう考えても対処に困る存在であるからこそ、ネカネは明日菜に対して声をかける事が出来なかったのではないだろうか。どうも推論に推論を重ねているようにも思うが、今まで提示されてきた情報から考えると、大筋でこの推論しか想定できないとのではないかと思える。
しかし、もしそうならば、ネギの最大の目的である石化した村人の救出、つまりネギの村の復活がなされれば、それはアスナにとっても非常に意味のある事になるだろう。
なぜなら、その時、天涯孤独の明日菜に「帰る場所」が与えられるのだから。