魔法世界をダイオラマ魔法球を引き合いに、色々考える

ネギの推測によると、魔法世界は人造の異界であるという事らしい。そして、それは崩壊を避ける事ができない世界だとか。
魔法世界が崩壊を避けられない世界である事、それが衝撃的なのは確かだが、それ以前に、魔法世界が人造異界である事が明確になった事により、色々と考えるべき事が出てきている。それらを少しまとめてみてみたい。

  • 人造異界とダイオラマ魔法球との関係は?

魔法によって作られた別の世界という事で、まず最初に思い浮かぶのがダイオラマ魔法球だ。あのエヴァの別荘として出てきた、場所と時間の両方を確保出来る、便利すぎる道具。人造異界が崩壊するものなのだとすれば、あのダイオラマ魔法球の中の別世界はどうなのだろう。
ダイオラマ魔法球は、地球上のどこかに実在する地形を引き写した(触媒とした)ミニチュアが入っているからこそ、その世界を実在の世界として感じる事が出来るのではないだろうか。
逆に、人造異界としての魔法世界は、実際には火星のミニチュアが入ったダイオラマ魔法球かも、という可能性があるだろう。
ダイオラマ魔法球も魔法世界も同じ一種の異界なのに、いや、ダイオラマ魔法球の方がお気楽に作られているようなのに、魔法世界の人造異界の方が崩壊が不可避の不安定なものだというのは少しおかしい。そもそも両者が同じ技術による産物かもと推測する事も可能だろう。
とすると、地球のどこかに規模の大きなダイオラマ魔法球があり、その中に火星のミニチュアが入っているのかもしれない。

  • 時間の流れは?

ただ、実際の魔法世界は、今までに出てきたダイオラマ魔法球と違う事がある。それは時間の流れ。今までに出てきたダイオラマ魔法球の時間の流れは、現実世界のものとは違うものばかりだった。しかし、魔法世界の時間の流れは、現実世界とリンクしているようだ。魔法世界と現実世界、どちらの住人も過去の歴史を語る時、同じタイムスパンを持っていた事からも間違い無いだろう。唯一、明日菜の年齢の問題が引っかかるが、それをもって特異な時間の流れ設定を追加するわけにもいかないと思える。
少なくともここ数十年の間、魔法世界と現実世界の交流が継続していた事から考えて、同じ時間の流れであったと考えてよいと思える。
しかし、ただ単純に特異な時間の流れの設定が無いとは言い切れない。
超が未来に帰った時に現れた魔法陣の現象と、ネギが魔法世界に旅立った時に現れた現象がほとんど同じだったのは何故か?それは、魔法世界がタイムマシンに乗らねばいけない世界だからでは無いか?
また、例え異界でも、重力まで地球と同じ環境にすることが出来るものなのか?もしかしたら、魔法世界は、現実世界の火星を触媒にしているとしても、それは「未来のテラフォーミングが済んだ火星」なのかもしれない。魔法世界がダイオラマ魔法球だとすれば、それは未来にあったりして。
もしそうならば、現在、現実世界との接続が途絶えている状況は、魔法世界と現実世界のタイムリンクも途絶えているという事にもなるので、再接続した時には、ネギが旅立った直後の現実世界に繋がる可能性もあるだろう。

  • 誰が作ったのか?そして、その動力は?

ダイオラマ魔法球程度の規模のものであれば、それが誰の手によるものかは、あまり問題ない気がする。まあ、エヴァの別荘の場合は、彼女が作ったのだが。
しかし、魔法世界は中に6億前後の人々が暮らしている世界だ。それを作った人間は一体誰なのか、そして、何を目的として作られたのかは、かなり大きな謎だろう。
それに、気になることが一つ。この人造異界が人によって作られた魔法的な世界だとして、作った人が死んだ後も、その魔法は継続するのだろうか。エヴァの別荘にしても、あれが魔力の供給を受けずに稼動していたのかどうかはかなり怪しい。中に入る際、明らかに魔法陣が稼動していたし、ネギの魔力を使ったからこそ、再稼動出来たと考えてよいだろう。(タカミチの時にはどうしたのか、少し気になるがw)
それと同じ事が、魔法世界にも言えるのでは無いだろうか。その異界としての機能を稼動させる為に、やはり作り手かそれに変わる魔法使いの魔力を必要としたのでは無いだろうか。そうなると、魔法世界を作った人は、一体今どうしているのかが気にかかる。
そして思い起こされるのが、フェイト一味の親玉「始まりの魔法使い」「造物主」と呼ばれる存在だ。この人物こそが、この魔法世界を作った存在と考えるのが自然なのだが、ならばその人物は魔法世界創世の時から存在し続けたのだろうか。そして、そんな存在をナギが倒してしまって(w)、魔法世界はなぜその時崩壊しなかったのか?
もしかしたら、その時姿を消したゼクトがその謎を解く鍵かもしれない。そして、今現在姿を消しているナギも、この謎に係わっているのかも。
もしくは、「世界の始まりと終わりの魔法」こそが、個人が作った異界を何らかの形で存続させる方法だったとか。
この辺りは、設定によりいくらでも後付が出来るので、作品内で明かされない限りそう簡単には解き明かせそうも無い気がする。

  • 生き物の存在は?

そして、最近気になるのがそこに暮らしている人々の事。
今までのダイオラマ魔法球は、流石に規模も小さく中に人が暮らす世界では無いが、エヴァの別荘では樹木が茂り魚が取れるなど、明らかに生命の存在が確認出来る。これは、魔法で作られた生物なのでは無いだろうか。
だとすれば、それを惑星規模に拡大すれば、人の存在も作る事が出来るとか。そうやって、生まれたのが魔法世界であり、そこに暮らす亜人を含む魔法世界の人々だとすればどうだろう。
フェイトが現実世界から来たアーニャを「人間」と呼び、他の存在とに差をつけたのは、そういった意味なのかもしれない。
あれほどの無敵を誇るラカンではあるが、「造物主」に対してだけは、絶対に勝てないと思ってしまったのも、ラカンがそうした「作られしもの」として、人間との格の差を感じてしまったからとか。もちろん、ナギは現実世界から来た者なので、そうした感覚は無かっただろうが。
超は言った。6700万人の魔法使いがいると。しかし、魔法世界の実際の人口は、夕映によると6億前後。この差は、現実世界と魔法世界を行き来する魔法使いの人口と、魔法世界の作成と共に生まれた人造人間の存在を含めた人口との差だったりするのだろうか。
もし、魔法世界の住人のほとんどがその様な存在だったとすれば、ネギはその存在をどう扱うのかという問題に直面する事にもなるのだろう。それは、人は何をもって人といえるのか、という哲学的な問題にもなりかねない。
まだ、魔法世界の事については、分からない事だらけだ。
新しい情報も次々出てきているのは確かだが、それに併せて、新たな考えなければならない、それも深刻な問題が増え続けているような気がする。