メガロメセンブリア元老院がネギの村を襲撃した理由

これは、すぐにでも答が出てしまう事なのかな?ネギ君がゲーデルに殴りかかってしまい、ある意味発言を止めてしまった訳だが、本来であればそのまま話すつもりだったのだから、すぐに出てきてもよい答のはず。
事ここに至って、メガロメセンブリア元老院が、つまり魔法世界の住人がネギの村を襲撃した理由を考えると、その答は結構明確なように思える。
それは、アスナという存在を消す為という事。
もう、魔法世界のアスナ神楽坂明日菜という事でよいだろう。明日菜は過去の大戦時、魔法世界を無に帰す魔法の触媒的な存在だった。実際、一度そのように「使われた」。そして、魔法世界を滅ぼしかけ、世界の全勢力によって封印されたらしい。
しかし、その後彼女は現実世界に姿を現し、麻帆良学園に入学している。一度封印された明日菜をナギが開放し連れ出したのだろう。そして、ナギ達紅い翼メンバーが狙われて命を落としたりダメージを受けたのも、この事と関連していたと考えて良さそうだ。
明日菜は魔法世界にとって「解放された災厄」そのものであり、その後も実際に狙われていた。そして、明日菜が麻帆良学園に入学した、つまり明確に匿われたのは、おそらく7・8年前。そして、ネギの村が襲われたのは6年前。つまり、明日菜を探して排除する活動の一環としてネギの村が襲撃されたという事で、辻褄があってくる。
ただ、この推測には、まだ他の可能性があると考えるべきかもしれない。というのも、確かに時間的な辻褄はあうが、理由しては少し弱いと思えるから。
この時期、明日菜が姿を消してからそれなりの時間が経っている。当然それなりの調査があったことだろう。何と言っても、村をひとつ消そうというほどの大凶行なのだから、決断にはそれなりの覚悟が必要だ。明確な証拠も無く行えるものとも思えない。そして、明日菜がその村に居なかったのは事実。確たる証拠も無く、誤解ともいえる理由で村が滅ぼされるものだろうか。明日菜そのものを狙ったというには、理由として弱い気がする。
まあ、「みすぼらしい」というゲーデルの言葉も出てきたので、可能性は強まっているともいえるが。しかし、他にも理由を考えてみたい。
まず、当初スタンが言っていた事に近い理由はどうか。つまり、ナギやナギに近しい者に恨みを持つ者の犯行。ナギへの報復の肩代わりとか。しかし、これも少し合点がいかない。ナギはメガロメセンブリア元老院から恨みを買うほどの事をしたとすれば、まあ、明日菜開放はそれにあたるかもしれない。しかし、元老院は、腐っていたとしても国の代表。恨みにも質がある。その程度の理由で、正に憂さ晴らし程度で、ほとんど無関係な村を滅ぼすような事をするというのも軽すぎるだろう。また、襲撃した魔族が、ナギそのものを狙って「いなかった」言動をしていたという事もある。
では、感情的な理由として、もっと具体的な理由が含まれていたらどうか。村を滅ぼすこと自体が報復行為、つまり、実は村の住人は、魔法世界を滅ぼそうとした「完全なる世界」に加担したともいえる王都オスティアの住人、つまりウェスペルタティア王家縁の人々の生き残りだったとしたら。
それは結構ありえるかもしれない。ナギはアリカ女王との間にネギを儲けたという。つまり親族になったという事。ネギが預けられていたのも、そこが親族の集落であったとするならば合点がいく。ネカネが明日菜と親族っぽいという事とも辻褄が合うだろう。村人全員が罪を持っていると断じ、制裁行為としての意味を持つ報復という事になるだろうか。
しかし、それならばなぜ魔族を使って秘密裏に行うのだろう。村への制裁ならば、メガロメセンブリアならもっと正面きって、それ相応の手続きをすれば、ある程度の事は出来るだろう。第一、滅ぼすほどの強い動機になりえるとも思えない。
村を滅ぼすというほどの、失敗が許されない苛烈で強い動機ながら、メガロメセンブリアという大国がそれを秘密裏に行わなければならないという状況。
明確な目標物がありながら、それを排除する事が対外的に許されない状況と考えればよいか。
となると、ひとつの言葉が思い出される。
ゲーデル「君には大変な価値がある」
ネギへの言葉だ。ネギがウェスペルタティア王家の血を引くただ一人の存在だとすれば、それは政治的にも色々と厄介な事が付きまとうだろう。政治家達の判断として、それを排除する事を検討する輩が現れてきても全く不思議では無い。
また、もうひとつ気になる言葉もある。
フェイト「君に死なれては困る」
世界を滅ぼそうとしている者からのネギへの言葉だ。ネギの中に流れるウェスペルタティア王家の血に、ただ王族としてではなく、何らかの魔法的な、それも世界の破滅に繋がるほどの力が隠されている可能性もあるだろう。それは、多くの情報を持っているらしいゲーデルの言葉の中でも臭わされている。ネギ自身が魔法世界にとって危険な存在である可能性もあるのだ。
つまり、ネギこそが村襲撃時の最終目標だったという事も考えられるだろう。
魔法世界は、確かにアスナという存在を「世界の軸のひとつ」として認識していた時期があったようだ。しかし、魔法世界の「世界の軸」はもうひとつ居た。それは「始まりの魔法使い」。少なくとも、魔法世界の謎は未だ明確ではなく、様々な可能性が残っている。明日菜だけを守ればそれでよい状況とは言えないだろう。
ネギは、自分が置かれている状況をもっと冷静に把握する必要があるだろう。
切れたら、切れたほうが負けだよ。